洗浄不足は殺菌の邪魔をする

By | 2016年11月20日

洗浄することの意味
殺菌を行うときに、「殺菌剤だけ使えば大丈夫」と思う人がいるかもしれませんが、実は洗浄も殺菌効果に大きく関わっています。洗浄が微生物に与える影響と殺菌剤に与える影響は以下のようにまとめられます。

①微生物の数を減少させる
②微生物の栄養源を除去する
③洗浄後に施す殺菌剤の効果をより強くする

これだけではわかりにくいので、食材を切り終わったまな板を洗浄•殺菌する場合を考えてみましょう。まず、まな板を洗浄するときには、洗浄剤を使ってスポンジなどでこすり洗いをしますが、この作業によって、まな板についている汚れが取り除かれるだけでなく、目に見えない微生物についても、殺菌はされていませんが一緒に取り除くことができ(物理的除去)、微生物の数を減少させることができます。また、微生物も生き物なので、栄養があれば増えていきます。食品汚れは微生物の栄養源となるので、まな板の食品汚れを洗浄により取り除くことで、微生物の増量を抑えることができます。

洗浄と殺菌はペアの作業

さらに殺菌剤は、微生物に効果があるように作られていますが、汚れなどが残っていると効果が下がってしまう殺菌剤もあります。とくに次亜塩素酸ナトリウムのように、油やタンパク質などの食品由来の汚れと接触すると著しく殺菌力を失う殺菌剤を使用する場合、洗浄が不足していると、期待した効果が得られない可能性があります。

洗浄して余分な汚れを取り除いたほうが、殺菌剤の本来の効果を発揮させることができます。作業者は、「殺菌剤を使って殺菌した」という安心感を持ってしまう可能性がありますが、洗浄あっての話なのです。このように、洗浄しなければ効率的かつ効果的に殺菌を行なうことはできません。十分に洗浄を行ってから殺菌をすることが基本です。洗浄•殺菌を別のものと考えず、「ペアの作業」として考えるといいでしょう。

熱湯消毒をすれば大丈夫か?

正しく行わないと逆効果
昔から、熱湯で消毒(殺菌)するという考え方があります。これは正しい方法なのでしょうか。熱湯で消毒するということは、実にオーソドックスで正しい方法です。食中毒や感染症の原因となるほとんどの細菌やウイルスは、85℃以上で1分間以上加熱すると、死滅(もしくは不活性)します。ただし、熱湯を使う場合には、その使い方が大きな問題となります。現実的には次の三つの理由から、基本的には熱湯消毒はおすすめできません。

①火傷の危険性がある
②熱湯と言っても、かけた段階ですでに急激に温度が下がってしまっている
③内部まで十分に温度が上がっていないと効果がない

熱湯そのものは沸騰していますが、対象物と接すると当然、熱が奪われます。それが50℃を下回るような温度がになってしまっていた場合、殺菌どころか、むしろ微生物にとっては好ましい環境になってしまいます。また、熱湯をかけるということは非常に危険な作業です。食品事業者にはパートやアルバイトなど熟練していない人たちが多く働いています。できるだけ安全な方法で作業を行なうことも大切なことです。

沸騰消毒は効果的

では、内部まで十分に温度が上がっているかどうかはどうやって調べればいいのでしょうか。食品であれば中心温度計を用いて測ることはできますし、実際にそれで定期的にモニタリングすることがあります。しかし、温度計を刺すことができない器具や器材の中心温度は測れません。また内部に空気を抱え込んでいるような、ふきんやタワシは思う以上に中心温度が上がりません。タワシをかなり長い時間、グツグツ煮込んで、その後、ギューっとしぼった煮汁を顕微鏡で観察したことがありますが、細菌がうようよ動いていました。ただし、釜などにやかんや器具などの対象物を入れて沸騰する消毒方法は効果的です。ポイントは熱湯の中にしっかり浸けて沸騰することです。

(参考URL)
調理場における洗浄・消毒マニュアル

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